東京高等裁判所 昭和56年(行コ)60号 判決
控訴人 張明秀
被控訴人 国
右代表者法務大臣 奥野誠亮
右指定代理人 細井淳久
〈ほか四名〉
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴人の提出にかかり陳述したものとみなした控訴状の記載によると、控訴人は原判決が不服であるから控訴するというにあり、被控訴人代理人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上及び法律上の主張は、控訴人において陳述したものとみなした控訴状のうち別紙理由欄の記載を付加するほか、原判決事実欄第二に摘示するとおりであるから、これを引用する。
理由
当裁判所は、控訴人の本件訴えは不適法であると判断するが、その理由は、次に付加・補正するほか原判決の理由説示(原判決四枚目表一〇行目冒頭から同五枚目表一行目末尾まで)と同一であるから、これを引用する。
1 原判決四枚目表一一行目の「平和条約発効以後」の次に、「無国籍であること、換言すれば」を加え、同裏五行目の「につき」を「、換言すれば外国の国籍を有するか、それとも外国の国籍を有しないかを終局的に」と改める。
2 原判決五枚目表一行目の次に行を代えて、「なお、控訴人は、本件訴えにおいて、平和条約発効以後『いかなる国の国籍をも有しないこと』の確認を求めているのではなく、平和条約発効以後『無国籍であること』の確認を求めるというが、両者は表現上の差異があるだけであって、両者の間には法的・実質的にはなんら異同がない。」を加える。
よって、本件訴えを却下した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却し、控訴費用の負担につき、行訴法七条、民訴法九五条本文、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岡垣學 裁判官 手代木進 上杉晴一郎)
〈以下省略〉